三脚の基礎
いまさら聞けない三脚の基礎の基礎
ほとんどの方が、カメラやビデオカメラを乗せるため三脚を持っているか使ったことがあるでしょう。
ところが多くの人が、きちんと使い方を習った事がないようです。
管理人もイベント会場・小中学校などで間違った使い方をしている光景を何度もみた覚えがあります。想像するに購入時、販売店で数分説明があるぐらいで正しい使い方なんか考えたこともない方ばかりでしょう。
まず写真で主要な名称を確認してください。写真の三脚はプロカメラマンがほとんど1本は持っている(持っていた)というハスキー三脚です。
三脚の最重要部-雲台
まず雲台部はカメラをつなぐ(載せる)部分です。脚部(エレベーター)と外れることが多いですが上の写真のハスキー三脚は外れない(一体型)のが標準です。(分離型も発売されている)
格安三脚は一体型が普通です。中型三脚ぐらいから、脚部だけ雲台だけでも販売されています。自由に組み合わせてつかうことができます。海外製品には太ネジで接続するものがあります。三脚カメラ取付ネジ・詳しくはこちら
2本パン棒タイプは3ウェイ雲台と言われ多くの製品がこの方式です。
パン棒 一本パン棒の雲台に注意
パン棒は左右上下をコントロールするグリップです。捻って(回して)緩める固定します。2本のパン棒タイプ(3ウェイ雲台)が一般的です。なお左の方が少し長くなってます。
写真のように一本だけしかパン棒がない機種があります。この手の三脚で縦位置にカメラをセットする時は運台の構造を理解して取り付けないと使いずらく不安定な取り付けになります。✖の方は縦位置切り替えがなく無理して付けても上下に動かすのが困難で使えません。
縦位置切り替え機能があるかないかはよく見て確認してください。(特に格安三脚)
国産三脚メーカの老舗スリックの「フリーターン運台付の三脚」は、✖印の画像のような取り付け方法で縦位置をセットします。プロカメラマンの中でも評価は分かれます。(管理人は、一番上のハスキー三脚のような2本パン棒タイプ(3ウェイ雲台)が好みです。)
もう一種類、自由雲台
自由雲台と言われるパン棒のない雲台があります。軽量ということと嵩張らないので、風景撮影(徒歩移動)・植物の撮影・360度カメラなどに使われています。親指よりひと回り大きいだけのサイズから中判カメラが載せられるものまで製品があります。
商品撮影でも中ぐらいの物なら十分使えると思います。
有名ブランドとしてアルカスイス、梅本製作所などがあります。(マンフロット・ジッツオも信頼性の高い製品を出してます。
ビデオ三脚(雲台)は静止画撮影には向かない
ビデオ用の三脚で静止画の撮影をするのはおすすめではありません。カメラ横位置での水平セット(微調整)が低価格ビデオ三脚では非常に大変です。(特殊なアダプターで可能ではある)
一本パン棒の三脚以上に縦位置のセットが難しい。ビデオカメラは横位置で撮影するのが当たり前でビデオ三脚も縦位置撮影は機能がありません。
静止画用の三脚をビデオ用に使うのもやめた方がよいでしょう。(カメラ固定の時は使えないこともない)
クイックシューは必須アイテム
商品撮影に限らず、クイックシューは撮影の必須アイテムです。小型~中型三脚までクイックシュー付きが非常に多くなりました。注意点はカメラに付けておくプレートの規格は各社まちまちです。アルカスイスという老舗の規格がかなり普及してます。ただしアルカスイス互換と言っても確認して購入しないと装着不可の場合があります。
Manfrotto ボール雲台 X-PRO クイックリリースプレートQ6付き アルカスイスプレート互換 MHXPRO-BHQ6エレベーターとセンターポール
エレベーターは歯車とレバーで雲台を上下させる機能です。センターポールはストッパーを緩めて雲台部を持って上下させる方式です。(三脚全体ではこちらの方が多い)
さらにセンターポールが途中で外せる製品があります。これはローアングルのときセンターポールがつかえるのを防ぐ(短くする)ためです。ローアングル機能は付いていない機種もあります。
Tips
エレベーター・センターポールの下にネジが付いていて雲台を逆に付けられる機種があります。これは超ローアングル撮影をするためです。商品写真ではあまり使わないと思います。
脚部の段数と材質
脚部の種類としてまず段数を気にしなければなりません。商品写真という目的では、3段~4段で良いでしょう。撮影場所を変えること(移動が)が多いなら4段の製品になります。5段の製品も出されています。これはなるべくコンパクトにするためで、使えないわけではありませんが5段目は緊急用として使うようにしましょう。(5段目が細すぎると思います)
脚のロックにリング式とレバーロック式があります。プロ用はリング式が多いように思います。小型~中型三脚ならどちらでも使いやすいと思う方で良いでしょう。
三脚は、昭和中期まで木製三脚、鉄製三脚が主流でした。木製は写真館の装飾で目にした方もおられると思います。。その後アルミ(ジュラルミン)で作られはじめ現在に至ります。10数年前からカーボン製が出てきました。カーボン製は画期的に軽量化できるのでメーカーはこぞって製品を出してます。欠点は価格が同程度のアルミ製より2~3倍高い点です。出張撮影専門でなければアルミ三脚で十分です。
脚に関連して、脚の先端部の設地する所(普通ゴム)を石突き部(先端部)と言います。厳密には写真のように金属製の尖った先スパイクとゴム接地を切り替えるアダプターが販売されています。フィールド撮影など不整地に三脚を立てるには必要な機材です。
商品撮影ではあまり意味がないと思います。(スパイクを出したままだと床を傷つける)
三脚の最重要とも言える役割
三脚の最も重要な役割は、カメラを止めることにあります。いわゆる「手ブレ防止」です。
この目的から見ると、やってはいけない使い方がいくつか存在します。
一番よくあるまずい使い方はエレベーターを伸ばして使うことです。エレベーターをいっぱいに上げ脚は縮めたままで撮っている姿を見かけます。これでは中型三脚でもブレが生じます。三脚の場合、高さの調節は脚部で行います。エレベーターはあくまで微調整です。
同じような間違いに脚の一番下の細い部分から伸ばしていくことです。必ず太い順に伸ばして出来れば一番細い段は使わない方がおすすめです。
やや特殊な三脚アクセサリーにストーンバックというアイテムがあります。中級軽量三脚には付属品として付いている機種も売られてます。
本来ブレ防止のため重り(石)などを入れて脚部の微妙な揺れを防ぐものです。商品撮影の現場では小物を入れているスタジオもあります。
三脚を購入する時は身長を考慮したほうが良い
三脚はなるべく大きくガッチリした物を選んでください。目安としてエレベーターを上げないでカメラをセットしてファインダーを覗いてちょうどいい大きさが高さです。これ以上高いと取り回しにすこし躊躇する時があります。(踏み台、脚立を常用する場合はもっと高くてもOK)
メーカーとしては、ジッツオ、マンフロットが海外ブランド品です。持っていると優越感に浸れるかもしれません。国内メーカーはスリックとベルボンが専業で有名・信頼感があります。
HAKUBAなど用品メーカーも製品を出しています。(中国製かもしれません)
一部中国製三脚も品質が上がり、十分使えるというカメラマンもいます。
耐荷重表示は当てにならない
ほとんどの三脚の製品表示に、耐荷重と記載されています。足を全く伸ばさないでの表示であって実際に耐荷重いっぱいのカメラレンズを乗せられるわけではないと思ってください。