仮設スタジオ
スタジオスペースの考え方
ECショップで撮影業務を自社内で行おう。新規に仮設スタジオをと考えているオーナーさん担当者さんへのアドバイスです。外部のプロカメラマンに来てもらって撮影をしている場合は撮影スペース(仮設スタジオ)のイメージはお持ちでしょう。ここではゼロから説明します。
既に撮影スペースが確保されている場合、変更の参考にしてください。
撮影機材で条件が変わる
撮影が定常光か、ストロボかで仮設スタジオの条件が変わります。
両方とも窓などから外光が入らない場所が求められます。
特に定常光ライトでの撮影の場合、厳密にいうと、全ての窓、入り口の小窓などをキッチリ遮光する必要があります。
さらに天井の照明も仮設スタジオ部分は消せるようになっていなければなりません。つまり撮影中はライトの明かりだけで他は暗い状態が求められます。フロア全体が消えるスイッチしかない場合は変更が要ります—天井照明を黒布で覆うとか電気工事で回路を分けるとか。
定常光撮影では、少なくとも薄暗い状態に持って行かなければなりません。無地(グレーなど無彩色)の遮光ロールカーテンなどが便利でしょう。(場所により背景にもなる)
ストロボの場合、モノブロックストロボでもクリップオンストロボでも、遮光はやや緩やかで済みます。
光量が大きいので相対的に現場の室内照明は無視出来ます。(撮影商品により定常光と同じ程度の遮光が要る時がある)撮影中もやや暗い程度で作業できます。
広さは撮影商品による
仮設スタジオの広さはどれぐらい要るのでしょうか?これは撮影する商品で決まります。ここではテーブル(撮影台)で60cm角程度を撮り、トルソーで半身~七分身まで撮影する仮定で書きます。背景紙は1800幅の物で計算してます。
結論を先に書くと「約7.5畳」のスペースが要ります。そんなに必要なのかと思うECショップ関係者と、狭すぎるというプロカメラマンに分かれると思います。
まずショップ関係者さんに言いたいのは、常時このスペースを空けておかなければならない訳ではありません。使う時にスペースを確保できればかまいません。
ライトを取り付けたスタンド数本、パソコン、撮影台、小物入れなどを配置すると「約7.5畳」は必要最低限とお考え下さい。
狭すぎるというプロカメラマン・業界関係者の方の意見は、ある意味では正しい物です。背景の前提条件が2.72mの背景紙になっているためです。
2.72mの背景を設置するスタジオを考えると確かに約12畳が最低必要スペースです。(14畳以上という人もいます)
背景紙をBPS1800にして考えれば7.5畳のスペースでなんとかなるのはお分かりでしょう。
7.5畳は、中京間の「910mm × 1,820mm」で考えてます。(幅2.73m引き4.55m)入り口など引きを確保出来れば6畳でもなんとか撮れるでしょう。
商品撮影台だけの撮影なら4.5畳で、半身までなら6畳程度のスペースで何とか撮れます。
その他の条件、
広さを確保出来ても、天井の高さが足らない時があります。2.4m高さで最低でしょう。DP店で高さが足らない時、天井板を外して背景機材を設置することが多々ありました。
もう一つは壁、天井、カーテンなど全て無彩色が理想です。さらに天井が白だとバウンス撮影に使えます。白壁も同様です。費用がかけられない場合、100均に園芸用遮光シートや白い不織布が売っています。100円のわりに面積が広いので一時的、部分的には使えます。
現場の電気容量も少しだけ気にしましょう。LED・蛍光灯・電池駆動のクリップオンストロボは問題ありませんが、モノブロックストロボは瞬間的に数100Wの電力を必要とします。回路のアンペア数にゆとりがないと、使用電力が大きいコピー機などとモノブロックストロボを同時に使うとブレーカーが落ちることがあります。
機材の保管場所も計算に入れて置かなければなりません。長尺ものが多いのでオフィスロッカーなどを利用するとスッキリ収納できます。
ショップオーナさんのなかには、撮影スペースも会社のイメージアップ(インテリアの一部)に使おうと考え、常にスタイリッシュに見えるよう整理整頓を強く言われる方がいます。